消費税還付について

塩田会計事務所アイキャッチ

2019年3月に国税庁が以下の通り、消費税還付に対する意見を示しています。
これを受けて、今後の消費税還付に関して私なりの考えをまとめてみました。

【国税庁の意見】
国税庁は毎年、税制改正に関して意見を示しています。
そこで、以下のような改正意見が出ています。
「課税売上割合の計算に含めると事業者の事業実態からかい離することとなる場合には、当該資産の譲渡に係る売上高を課税売上割合の計算から除外する。若しくは、事業者が算出した課税売上割合が事業実態からかい離する課税売上割合と認められる場合の事後的否認規定を措置する。」

【「国税庁の意見」の意味】
通常、賃貸マンションであれば、課税売上割合は低いものであるにもかかわらず、金の売買などの取引を利用して課税売上割合を高くすることにより、消費税の還付が可能となります。
このように、事業実態(賃貸経営)とは異なる課税売上割合の場合には、それは認めませんよ、という内容です。

【塩田の意見】
「国税庁の意見」は、少し表現が荒いように思えます。
何をもって「事業実態とかい離する」こととなるのか。
金の売買はダメだが、不動産の売却はどうなるのか。
賃貸経営をしていても、不動産を売却すると課税売上割合というのは増減します。
他にも太陽光発電をしていたらどうなるのか。
何か他の課税売上があった場合は、それもダメと言われるのか。
他の課税売上でも、継続的なものはいいのか、スポット的なものはダメなのか。
線引きが非常に曖昧になります。

もし、この「国税庁の意見」の表現のまま税制が改正されると、どの課税売上割合が正しいこととなるのか不明になります。
このことを「予測可能性」といいます。

税務の世界は、自己申告を可能にするため、課税要件(法律など)は国民が理解できるように一義的でなければいけません。
つまり、法律などに基づいて、どういう申告をするべきかは予測可能でなければなりません。

そうしないと、正しい申告をしていても、「後でひっくり返されて課税されるのでは」と、ビクビクしないといけなくなります。

そして次に、「事後的否認規定」という表現ですが
これは、過去にさかのぼって事後的に否認できるという意味にも読み取れそうです。
ただ、「法令不遡及の原則」というものがあります。
法令は原則として将来に向かって適用されるもので、過去の出来事には適用されない。というものです。

もし、法令の改正ということになれば、遡及はできないということになります。

ただし、法令の改正ではなく、今までの法令の範囲内で、「国税庁の解釈を正式に表明しただけだ」と言われてしまうと、遡及される恐れは十分にあります。

一方で、このスキームで消費税還付をしている数や金額は相当なものに上るでしょう。
そこを考えると、今まで消費税還付をした法人に対して、全て否認していくということが本当にあり得るのかということは確かに頭をよぎります。

これらを総合的に考えると、やはり
「遡及して今まで全ての法人に対して否認していく」
というよりも
「今後は許しませんよ」
というメッセージのように思えます。
(もちろん、あくまでも単なる一つの意見です)

税制改正というのは、各省庁から税制改正要望というものが提出され、それを精査して税制改正大綱が作成されます。
そして、税制改正へと進んでいきます。

今のところ、税制改正要望にも出ていませんので、今後税制改正要望に出て、税制改正という風になっていくのか。
そうなれば、どのような表現となって出てくるのか見極めたいと思います。

ただ、税制改正ということではなく、この意見をもって今後の税務調査で消費税還付が否認されていくとなると、もう手も足も出ません。

【おまけ:消費税還付自体に関して】
消費税還付に関しては、本来できないのに、還付されるのは租税回避だという意見もあります。
ただ、個人的にはその意見も本当に正しいのかと思ってしまいます。
確かに、今の税制からすると、通常ではできないスキームです。
ただし、税制がそもそも変だとは思いませんでしょうか。

不動産を売却した時は、建物に係る消費税を全額納税します。
それなのに、不動産を購入した時は、建物の消費税を還付してもらえません。
これは、通常の事業であれば、そういうことにはなりません。(還付されます)
不動産賃貸業という、業種だからです。

同じ不動産が、3回売買されたとします。
①Aさん⇒Bさん
②Bさん⇒Cさん
③Cさん⇒Dさん

この時、国からすると3回消費税が入ってきます。
一方で、還付額は0円です。
これは、ある意味、国が重複して課税してしまっています。
こういうことが不動産賃貸業では起こっているのです。

今の消費税制ですと、納税はするが還付はされないのが当たり前という状況で、還付すると租税回避ではないかとなるのです。
ただ、国が重複して課税できる仕組みを作り、税務署がこの仕組みを利用して、課税しようとしているとも思えてしまいます。

意図的ではないと思いますが、ここは指摘されないのは良くないです。

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