法人化の検討
法人化
不動産投資家であれば、一度は検討したことがあると思います「法人化」個人の物件を法人へ移すことを指しますがこれにはメリットとデメリットがあります。これまで、多くの法人化をお手伝いさせていただきました立場から
どういった人に法人化が向いているかご紹介いたします。
法人化のメリットとデメリット
法人化のメリットとデメリットは以下の通りです。その人によって、その効果がいくらあるかは変わってきますので、分からない方は一度ご連絡ください。
メリット
・役員報酬が支払える
・決算月を決められる
・出資者を自由に決められる
・共済に入ることができる
・法人税率が低い
・減価償却費で利益を調整することができる
・借換を検討することで、金利を下げることができる。
・消費税還付が行える
デメリット
・登録免許税、不動産取得税が必要となる
・金融機関によっては、違約金が発生するケースがある。
誤った法人化の基準
法人化というと、ハードルが高いイメージがあるかと思います。法人化したいけど、行動に移されない方にその理由を聞くと以下の回答が返ってきます。法人化するかどうかの基準は様々かと思いますが、これらの基準は基本的にすべて間違っています。
1.まだ1棟しかないので・・・
1棟でも十分に法人化のメリットを受けられる可能性があります。1棟と言っても、4戸ほどのハイツもあれば、数十戸の大型マンションもあります。つまり、棟数を法人化の基準とすることは正しくありません。
2.個人の税率もそれほど高くないので・・・
税率が最低ラインでも法人化した方がメリットが得られる可能性があります。税率が高くないから法人化をしなくてもいいというのは誤りです。さらに税金が安くなる可能性があるので、是非トライしてみてください。
3.不動産で利益が出ていないので・・・
なぜ利益が出ていないのでしょうか。
・1期目のため、取得に係る費用があったため
・大規模な修繕費が発生したため
・築古や木造などのため、1年あたりの減価償却費が大きいため
・建物付属設備を認識しているため、減価償却費が大きいため
これらが原因だとすれば、法人化のメリットが得られる可能性は十分にあります。
4.売上が1千万円いっていないので・・・
売上の大小では何も決まりません。同じ売上でも経費のよくかかる物件もあれば、利益がよく出る物件もあります。売り上げが小さい場合でも、法人化した方がメリットが得られる可能性はあります。
塩田会計事務所の考える法人化の基準
1.所得分散が可能な環境
法人化の最大のメリットは、何といっても所得分散です。不動産から得られた利益を、役員報酬として各役員(家族)へ振り分けていきます。ご存知の通り、日本は累進課税制度をとっていますので、所得の低い方へ利益を配分すれば、トータルでの税率が下がることになります。
2.売却予定の有無
法人化と言っても、個人と法人での売買ですので「不動産取得税」「登録免許税」が必要になります。これらの負担を回収するには、消費税還付を行うか、長期間保有することが必要です。1年後に売却するのであれば、そのまま個人で保有しておいた方がいいケースがあります。
3.個人が消費税の課税事業者か免税事業者か
消費税を納める義務があるかどうかは、個人か法人かということではありません。個人でも消費税を納める義務がある場合があります。その場合、法人化(法人へ物件を売却)すると、建物に含まれている消費税を納める必要があります。仮に建物が税抜1億円とすると、800万円の消費税を納めることになります。必ず事前にご確認ください。
4.消費税還付が可能かどうか
買主である法人が消費税の還付が可能な法人なのかどうかご確認ください。消費税還付が可能な場合、数百万円の資金繰り回税になりますので、今後の不動産投資に大きく影響を与えます。
5.帳簿価額と残債のバランス
法人化を行う場合には「建物」「建物付属設備」「土地」等の帳簿価額と残債のバランスが重要になります。「帳簿価額>残債」の場合には問題ないのですが、「帳簿価額<残債」の場合には、問題があります。また、現時点では「帳簿価額>残債」であるが、今年の減価償却費が大きいために、来年には「帳簿価額<残債」になるという方はお急ぎください。
6.恒常的に利益が出ているか
法人化して節税を行う場合、そもそも税金が発生していないと効果はありません。しかし、「今年は利益が出た」「今年は利益が出なかった」など、単年度の利益をベースに法人化を検討してしまっては判断を誤るかもしれません。不動産投資でよく見られるのは、減価償却費を早期計上してしまっているために今年は利益が出ないが、数年後には利益がたくさん出てしまうというようなケースです。これらは、築古や木造などを取得すると起きてしまいます。
では、「恒常的に」利益が出ているかどうかを確認するにはどうすればよいでしょうか。簡単的に判別するには、建物と設備などの取得価額を借入期間で割ってください。その金額を減価償却費に当てはめて、利益が出ているかどうか判断してください。
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