平成28年税制改正大綱
平成27年12月16日に税制改正大綱が発表されました。
毎年たくさんの税制が改正されますが、
不動産投資家向けに税制改正の内容を解説いたします。
消費税還付の縮減
平成28年4月1日以降の不動産の取得について、消費税の還付は難しくなりました。
ただし、平成28年3月31日以前に契約書にサインをしていれば、平成28年4月1日以降の不動産の取得であっても、今まで通り可能です。
なお、平成28年4月1日以降の不動産の取得であっても、完全に消費税還付ができなくなるわけではありません。今までのスキームは利用できなくなりますので、費用とリスクがかかることになります。
法人実効税率の引き下げ
以下の通り法人税率が引き下げられます。
法人税率 | 法人実効税率(地方税等も含めた法人税率) | |
平成27年度 | 23.9% | 32.11% |
平成28年度 | 23.4% | 29.97% |
平成30年度 | 23.2% | 29.74% |
空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設
相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに空き家を売却した場合、居住用財産の譲渡所得の3000万円の特別控除を適用することができる。条件は以下の通り。
・区分所有ではない。
・被相続人(お亡くなりになった人)のみ住んでいた(貸付などに供していない)。
・相続があってから、空き家のまま。
・家屋が昭和56年5月31日以前に建築された。
・売却価額が1億円以下。
三世代同居改修工事の特別控除(借入金がある場合)
住宅の三世代同居改修工事等に係る借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
以下の条件を満たす場合、住宅三世代同居改修工事に係る借入金等の一定割合について、5年間の税額控除を受けられる。
・平成28年4月1日~平成31年3月31日までに住むこと。
・借入返済期間は5年以上
・三世代同居改修工事の証明書が必要
控除される税額は以下の通り
・借入金の年末残高の1.0%(借入金の上限は1000万円)
・「一定の三世代同居改修工事」に係る借入金の年末残高の2.0%(借入金の上限額は250万円)
※「一定の三世代同居改修工事」とは、①調理室、②浴室、③便所、④玄関のいずれかを増設する工事
三世代同居改修工事の特別控除(借入金がない場合)
既存住宅に係る三世代同居改修工事をした場合の所得税額の特別控除(借入金がない場合)
以下の条件を満たす場合、住宅三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額の10%相当額を、その年分の所得税額から控除することができる。
・平成28年4月1日~平成31年3月31日までに住むこと。
・①調理室、②浴室、③便所、④玄関のいずれかを増設する工事。
・標準的な工事費用相当額が50万円を超えること。
・その年の合計所得が3,000万円を超えないこと。
・その年の前年以前3年内において、本特別控除を受けていないこと。
新築の固定資産税軽減措置の延長
新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置の適用期限を2年延長する。
新築の不動産取得税軽減措置の延長
不動産取得税について、新築住宅を宅地建物取引業者等が取得したものとみなす日を住宅新築の日から1年(本則6月)を経過した日に緩和する特例措置の適用期限を2年延長する。
減価償却制度 定率法を一部廃止
平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備及び構築物の償却の方法について、定率法を廃止し、定額法とする。(所得税についても同様)
サービス付き高齢者住宅の割増償却縮減
サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却制度について、割増償却率を 10%(耐用年数が35年以上であるものについては、14%)(※)に引き下げた上、その適用期限を1年延長する(所得税についても同様とする。)。
※現行:14%(耐用 年数が35年以上であるものについては、20%)
自動車取得税の廃止
平成29年3月31日をもって廃止する。
過少申告加算税
1. 税務調査の日程の連絡
2. 税務調査の実施
現行:2以降で修正した場合、修正額×10%(50万円を超える部分については15%)
改正:上記に加え、1と2の間で修正を行った場合、修正額×5%(50万円を超える部分については10%)