減価償却費で利益をコントロール?
不動産投資においては
避けて通れない「減価償却費」
簡単にいうと
「建物の目減り額」です。
なぜ、この減価償却費がよく話題に上るかというと
「通常の経費」とは少し異なるからです。
例えば、ペンなど備品を思い浮かべてください。
100円でペンを買いました。
そうすると、その時に100円の経費(備品消耗品費)が計上されます。
つまり、基本的には
「支払額=経費計上額」
なのです。
しかし、建物の場合にはそうはいきません。
購入した建物が何年もかけて売り上げを稼いでいきます。
ですので、その売上に合わせて経費計上していきます。
例えば、3000万円の建物で30年稼げるのであれば
毎年100万円ずつ経費(減価償却費)を計上しましょう
というものです。
さて、この減価償却費ですが
算定式があります。
「取得価額×償却率」
この償却率は、耐用年数というものによって決められます。
10年もつ建物であれば、償却率は0.1
20年もつ建物であれば、償却率は0.05
といった具合です。
上記の計算式から出てくる値を「減価償却限度額」と呼びます。
この減価償却限度額ですが、
あくまで「限度額」なのです。
個人の場合には、「限度額」いっぱいまで必ず減価償却費を計上しなくてはいけません。
つまり、赤字であったとしても、黒字であったとしても
減価償却費の金額というのは、納税者が勝手に変えることができません。
ただし、法人の場合は「任意償却」と言って
限度額いっぱいまで減価償却費を計上してもいいですし
0円でもいいですし
その間(0円~限度額)でも構いません。
つまり、利益が出ていれば、減価償却費をたくさん計上できますし
あまり利益が出ていたなければ、減価償却費を抑えることもできます。
これにより、法人の利益というのは調整することができるのです。
そうすると、意図的に
赤字を回避したり
ぎりぎり黒字にして、税金を少しだけ払う
ということも可能です。
また、右肩上がりの決算書も作成することができます。
とても便利ですね。
ただ、これには落とし穴があります。
「減価償却限度額」いっぱいまで減価償却費を計上していないと
「減価償却不足額」というものが申告書に表示されます。
・減価償却限度額=500万円
・実際の減価償却費計上額=300万円
この時、
・減価償却不足額=200万円
という具合です。
そうすると、金融機関はこの決算書をどのように評価するでしょうか。
少しだけ黒字を出している決算書をみて
そのまま評価はしてくれません。
あくまで減価償却限度額いっぱいまで計上したとして
決算書を調整してから評価します。
つまり、
減価償却費を調整して見た目上は黒字にしていても
金融機関からは赤字評価されているということになります。
全然意味ないですね。
「建物」の一部を「建物付属設備」として認識することで
減価償却費を早めることができるのですが
いざ決算が近づくと
赤字は嫌だからと言って
減価償却費を計上しない。(償却不足額が発生)
という行き当たりばったりな決算書を作っていると
金融機関からうまく融資が引けません。
長い目で見て、「建物付属設備」を認識すべきかどうか
じっくり考えて結論を出してください。
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