利益とキャッシュフローについての考察
事業を行う方は、知らないでは済まされない、この2つの指標。
利益とキャッシュフロー(CF)は似ているようで少し違います。
・利益:どれだけ儲かったか
・CF :どれだけお金が残ったか
これだけ読むとよく分かりません。
それでは、お金を借りた時を想像してください。
通帳には数千万円お金が入ってきます。
ただし、これが利益になってしまうと
「お金を借りただけなのに税金がかかってしまう」
ということになってしまいます。
お金は入ってきても、これは利益にはならないのです。
このように、「儲け」と「お金の流れ(入出金)」というのは
微妙に違います。
不動産投資においては
この利益とCFの違いは2つ抑えておけば十分です。
1つ目は「借入金」
先ほどの例のように、
お金を借りた時は入金があるので
CFはプラスですが
これは儲けではないので
利益には影響しません。
また、返済時も同様に
返済した時は、出金があるので
CFはマイナスですが
これは経費には計上できません。
2つ目は「減価償却費」です。
これは、建物の劣化具合を経費計上していくものなのですが
実際にお金は出て行きません。
つまり、CFには影響しませんが
経費になるので、利益には影響を与えます。
まとめると以下の通りです。
減価償却費 | 借入金 | |
利益への影響 | 〇 | × |
CFへの影響 | × | 〇 |
つまり、上記を踏まえると
不動産投資の利益とCFは以下のような計算になります。
利益 | CF | |
賃貸料 | 100 | 100 |
経費 | △30 | △30 |
減価償却費 | △40 | – |
借入金 | – | △30 |
利益 or CF | 30 | 40 |
おそらく、ここまでは理解できている方も多いのではないでしょうか。
問題はここからです。
上記の金額を見ると
利益が30
CFが40
つまり、「利益<CF」という状態になっています。
不動産投資家にとっては
利益が少ない方がいい
CFは多い方がいい
と思われるでしょう。
「お金は残っているが、税金は払わなくていい」
まさに、最高の状態です。
しかし、よく考えてみてください。
単年度で考えずに、全体で考えた時
減価償却費の各年の合計額というのは、「建物金額」になります。
一方、借入元本返済額の各年の合計額というのは、フルローンをしている場合「建物金額+土地金額」になります。
つまり、フルローンをしていると
必ず「減価償却費<借入元本返済額」となるのです。
ということは
「利益>CF」
となります。
簡単にいうと
フルローンをしていると
「お金はあまり残っていないのに税金が発生する」
という状況が通常なのです。
もし、フルローンで借りているのに
今決算書が「利益<CF」となっていれば
それは、
減価償却費を前倒しで計上しているか
借入金の元本返済が進んでいないこと
と思われます。
その方は、必ずどこかで逆転します(「利益>CF」)
つまり、「お金は残らないのに税金が発生する」
という状況になりますので
ご注意ください。
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