金融機関インタビュー(既存融資先評価編)
インタビューの後半は、すでに融資を受けている人(法人)の評価についてお聞きしました。
〇役員報酬や地代で法人から個人へ利益を移転させている場合、それらの経費はないもの(つまり、利益は表面上よりも出ている)として評価してもらえるのか。
⇒まず、提出した決算書を基にそれを実体に修正していく
その際に役員報酬などの経費(自分や奥さんへの給与)については、ないものとして調整を加えて利益を算出する。ただし、全員しているわけではない。
☆ちなみに、私が1年くらい前に担当に聞いた時は、それは経費になりますので、利益は出ていないと考えます。と言われてしまいました。その後、納得がいかないので、上長のに確認してみたら、担当者の作文が下手だったということになりました。
結局、担当者の作文次第でどうにでもなる。
そのため、融資したい人には、調整を加えて審査にもっていくが、融資を断りたい人には、「経費として見られる」という言い方をする(断る一つの材料)なのでしょう。
〇減価償却費は、法人の場合は任意償却なので、償却限度額(取得価額×償却率)いっぱいまで計上しないことができます。このように任意償却を利用して利益を出している場合はどのように評価されますか。
⇒限度額いっぱいまで計上したとして調整を加え、評価します。
償却限度額いっぱいまで償却しておいた方がいい。
申告書に「償却不足額」があると、審査担当者は嫌がるとのこと。
☆減価償却費は全額計上した上で、黒字を出していると言うのがベストとのことです。
そういう意味でも、建物付属設備や耐用年数の考え方は慎重になった方がいいようです。
何でもかんでも、前倒しで計上して税金を抑えれたーと喜んでいては損しそうですね。
〇段階損益(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前利益、当期純利益)についてはどこを見るのか?
⇒基本的には「経常利益」を見ます。
ですので、大規模修繕など突発的な支出の場合は、特別損失などに回す方が評価しやすい。
☆いかに「普段は利益が出ている」かを見せるということですね。
〇接待交際費などが多くても問題ないか。
⇒特定の科目で問題視することはあまりない。
☆これは、どちらかというと税務署が問題視する点ですね。金融機関はそれほど問題視していないようです。
〇決算書は金融機関内のシステムへ入力しているのか。
⇒毎年決算書をもらう時点で入力する。
期の途中では、基本的に入力しない。
☆新規融資してもらう時は、期の途中の試算表などを求められますが、システムへの入力はしていないようです。
〇赤字は避けるべき?
⇒はい、避けるべきです。
赤字だと格付けが良くならないから。
☆やはり、「格付け」はかなり重要視しているようです。
他にどのように格付けしているのか色々効いていきたいと思います。もしっている方がいらっしゃいましたら教えてください。
〇役員借入金は、資本金と同じ自己資本として見てもらえるか?
⇒はい、みれます。
受け取った決算書を基に、これも調整していく。
☆資本金が少ないと格付けが低くなるという意見もありますが、役員借入金を自己資本へ調整してくれるのであれば実質的には問題なさそうです。ただ、資本金1円とか1万円とかで法人を作ると税理士的にも違和感はあるのでやはり、数千万円の不動産を購入するのであれば、100万円ぐらいは資本金として入れておいた方がよさそうです。
〇その他で気にする指標などはありますか。
⇒債務償還年数は気にします。
有利子負債(残債のこと)÷(経常利益+減価償却費)
これが、耐用年数よりも短いかどうか。
☆ここでも「経常利益」が出てきました。
また、この評価の仕方であれば、新築RCであれば評価が良くなりそうです。つまり、どんどん融資してくれて購入できる?
利回りが多少低くてもRCで新築が王道なのかもしれません。
〇収益物件から得られた預金はできるだけ、その金融機関に置いておいた方がいい?
⇒これは重要です。
審査の段階で、お金を置いてくれてる人か、使っている人(又は、他の金融機関へ動かしている人)かは、結構重要視されています。
☆よく定期預金や積立預金などを求められて、とりあえずやる人は多いでしょう。この時、「拘束性はない」と言われるので、数か月したら預金を他へ移す人がいますが、やはり次の新規融資の際に響いてくるんですね。
〇個人の預金を法人の預金に移すことで、法人の「預金」残高と「役員借入金」が増加することになるが、これはプラス要因?
⇒新規融資の際は、預金残高としては、法人も個人も合算して評価するので、個人から法人に移すかどうかはあまり、影響はないが、法人の貸付の際には、流動資産(預金残高)が増えて、自己資本(役員借入金)が増えるので、多少意味はある。
☆預金があることをアピールするのはやはり重要です。
以上、インタビューでした。
感想としては、やはりいつの時代も「預金」が重要。
金融資産があるかないかで、全然変わってくる。
単年度の収入はあまり気にしないのも、結局お金が残っているかどうかが金融機関としては重要ということ。
それはそうですね、収入高くても浪費している人だと貸し倒れリスク上がりますから。
あとは、格付けについてもっと具体的にどの指標がどのくらいならどのランクの格付けになるのか、掘り下げて聞いてみたいです。
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金融機関インタビュー(格付編2) | 塩田会計事務所
2020年3月31日 @ 8:00 AM
[…] 実は、5月30日の「金融機関インタビュー(既存融資先評価編)」にも書いていたのですが […]